どうすればいいの?ダイエットによる「たるみ」
「お腹周りの脂肪をなんとかしたい」「さすがにこの二の腕のタプタプは…」「今年こそはシャープなボディラインを!」などなど、ダイエット熱が高まる夏本番。ダイエット成功の一方で「痩せたのに引き締まって見えない」「痩せたというより萎んだ」など、ダイエットによって、皮膚がたるんでしまったという声もよく耳にするのではないでしょうか?今回はダイエットによる「たるみ」をテーマにどうしてたるむのか、その対策をご紹介します。
目次
まずは皮下脂肪への理解から
脂肪は3種類。痩せる順番がある
急激な減量が招く「たるみ」
極端な食事制限が追い打ちをかける
考慮すべき「コラーゲン」
肥満期が長い方ほど、緩やかなダイエットを!
賢明なダイエット「たるまず痩せる!」
まずは皮下脂肪への理解から
人の体を覆う皮膚は、成人の場合、平均すると約1.6㎡、畳1枚分あるといわれます。構造は表皮・真皮・皮下組織の3層。ふだん私たちが肌として捉えているのは表皮ですが、皮膚の最も深い層にある皮下組織の状態は若々しさやたるみに大きく関係しています。
皮下組織は大部分が脂肪で、そこに動脈や静脈が通っていて真皮に栄養を届け、老廃物を運び出しています。衝撃から身を守るクッションになったり、寒さを防ぐ断熱材の役割を果たしたりし、エネルギーの貯蔵庫としての役割もあります。
皮下脂肪は全身に付いていいますが、下腹部やお尻、太ももなどの下半身や、二の腕などあまり動かさないところに集中してつきやすい脂肪です。すでに紹介したように役割のある大切な脂肪ですが、つき過ぎるとボディラインに影響を与えます。お尻と太ももの境界線をなくしたり、二の腕を振り袖にしたりします。掴むことができるのも皮下脂肪の特徴です。
脂肪は3種類。痩せる順番がある
私たちは体内に蓄積された脂分のことを「体脂肪」と呼びますが、厳密には脂肪は3種類。一つはすでに紹介した皮下脂肪。残り二つは、胃や腸など内臓のまわりにつく「内臓脂肪」と、心臓や肝臓などに溜まる「異所性脂肪」です。
3種類の脂肪の落ちやすさには順番があるとされています。体がエネルギー不足に陥った時最初に燃焼されるのは、本来は溜まる必要のない異所性脂肪。次に、溜まりやすいけれど燃焼もしやすい内臓脂肪。内臓脂肪は胃や腸の周りにあって太めの血管と接していることから、血流に乗って運ばれやすく、肝臓ですぐエネルギーとして消費されます。そして最後が皮下脂肪です。体を守る働きがあり、かつ血管が細い皮下脂肪はおいそれとすぐには落ちません。
急激な減量が招く「たるみ」
内臓脂肪が減ってから始まる皮下脂肪の消費。いずれにしても本来、皮膚にはある程度の伸縮性が備わっているので、通常なら体重の増減に柔軟に対応できるのですが、注意しなければならないのが、急激なダイエット。
短期間で脂肪が急激に減ると、皮膚はその変化に追いつくことができなくなり、「皮余り」という現象が起きてしまうからです。脂肪細胞は縮んでも、表面の皮膚面積は変わらないまま。風船の空気が抜けて、ゴムが伸びたような状態です。
「りんご型肥満(内臓脂肪が多い肥満)」「洋なし型肥満(皮下脂肪が多い肥満)」という言葉を聞いたことがあると思いますが、皮下脂肪型の人ほど、皮余りは起こりやすいともいえます。頑張って5kgも痩せたのに、引き締まって見えない。実は短期間ダイエットで大きく成果を出すほど目立つ悩みです。もちろん個体差はありますが、脂肪を取り除く手術より、皮膚のたるみを取り除く手術の方が回復に時間がかかることからもうかがえます。
極端な食事制限が追い打ちをかける
栄養不足に陥ると飢餓状態にあると脳が錯覚し、できるだけ栄養をため込もうとします。そのため食事を我慢して頑張ってダイエットをしても思うように痩せられないこともあります。さらに極端な食事制限は脂肪を燃やすのに必要な筋肉も減らしてしまうことがあります。皮下脂肪や筋肉によってしっかりと支えられている皮膚にとっては、一大事。皮膚の下に隙間ができることから、皮余りはますます顕著になってしまうのです。
体が栄養不足の状態にならないよう、下記に記す必要な栄養素は意識して食事で摂取するようにしましょう。
タンパク質
ダイエットに食事制限はつきものですが、皮膚の弾力やハリを保つためには栄養が必要です。なかでも「タンパク質」は皮膚や筋肉、細胞の基本的な材料となる栄養素。コラーゲンの生成を促進する役割もあります。
★ 肉類、魚介類、豆類に多く含まれます。
▼こちらのレシピも参考に!
・良質なタンパク質を美味しく!モン・サン・ミッシェル名物「スフレオムレツ」
・美しい肌と髪は良質なタンパク質から!「鯛のポアレ」
ビタミンC
「ビタミンC」もコラーゲンの生成に関与する重要な栄養素です。抗酸化作用があるビタミンCは皮膚の細胞を酸化ストレスから守り、老化を予防する働きもあります。
★ パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、柑橘類(レモン、オレンジなど)、イチゴ、ジャガイモ、サツマイモに多く含まれます。
▼こちらのレシピも参考に!
・美の元「ビタミン」「ミネラル」「食物繊維」を見目麗しい「野菜のペペロンチーノ」で!
ビタミンE
体内の血流を改善してターンオーバーを促すには「ビタミンE」が必要です。ビタミンEは抗酸化作用も強く、紫外線やフリーラジカルから皮膚を守り、肌のバリア機能を強化して乾燥を防ぎます。
★ アーモンドなどのナッツ類、オリーブオイルに代表される植物油、魚介類、豆類、野菜類に多く含まれます。
▼こちらのレシピも参考に!
腸活&ビタミン補給で夏に負けない肌!今が旬「ヤングコーンのグリル&ひげ天」
亜鉛
細胞の再生や修復を助ける「亜鉛」は、ダイエット中の栄養不足による肌トラブルを防ぐためにも効果的な栄養素です。
★ 牡蠣、レバー、牛肉、豚肉、カシューナッツ、小麦胚芽、卵、チーズに多く含まれています。
▼こちらのレシピも参考に!
・食べてエイジングに抗う!「牡蠣のコンフィ」
考慮すべき「コラーゲン」
皮膚を引き締め弾力性を支えているのは、「コラーゲン」や「エラスチン」といった繊維状のタンパク質です。しかし、20歳を過ぎると新陳代謝のスピードや再生能力は自然と低下していきます。
このような状況下で急激に体重を落としたら、コラーゲンやエラスチンの生成はますます追いつきません。皮下脂肪が減り、真皮のコラーゲンやエラスチンにも影響が及んでしまいます。痩せるためのアクションが、たるませるためのアクションになり兼ねないのです。年齢を重ねるほど、スリムになった体にフィットするような肌の弾力が残されていないことも考える必要がありそうです。
太っている期間が長い人ほど、緩やかなダイエットを
食事制限メインの急激なダイエットがいかに皮膚のたるみに影響を及ぼすか。理解していただけたでしょうか。皮膚は絶えず新陳代謝を繰り返し、今の体型に合わせて調整されていきますが、20代、30代でも大幅に痩せた場合、たるんだ皮膚が縮むには一年かかるといわれています。40代以降であれば、より慎重に落としていく必要があります。
食事制限だけのダイエットは脂肪と一緒に筋肉もってしまうので、筋力トレーニング(筋トレ)は必須です。
とくに肥満期間が長い方は、一層の慎重さが不可欠です。長期にわたって皮が引き延ばされた状態が続いているため、その形状が「スタンダード」になっています。コラーゲンやエラスチンの構造も持続的な負荷により変化し、形状記憶されたような状態です。80Kgの人が15Kgのダイエットに成功! 数字だけを見たら大成功ですが、余分な皮膚がたるんでいたら「痩せない方が良かった」となりかねません。せっかく痩せたのに、たるんだボディでなってしまったとならないよう、これらを考慮した賢いダイエットをしなければならないのです。
賢明なダイエット「たるまず痩せる!」
いかがでしたか?大人の賢明なダイエットは「たるまずに痩せる!」です。1ヶ月の減量ペースは体重の5%未満とされています。しかし体重は人によって異なるもの。皮膚のためには、1ヶ月1~2kgが妥当です。体を栄養不足にせず、脂肪を燃焼させる有酸素運動と組み合わせた筋トレで筋力を維持しながら、血流を促して新陳代謝を活発にする。十二分な量をこまめに摂取する水分補給も血液循環アップにつながります。
「美しく痩せるためには近道はない」ということを肝に銘じて、大人ならではの聡明で知的、かつ賢明なダイエットを行なっていきましょう。