レッツ、口腔ケア!感染予防対策の歯磨き&舌磨き

延々と続くように感じるコロナ禍の今、「手洗い」「うがい」「マスクの着用」は日常にすっかり溶け込んでいますが、もう一つ加えたいことがあります。それは「口腔ケア」。お口の中がきれいだと、ウイルスの侵入を防ぐ効果が期待できるからです。新型コロナウイルス感染症での検証は現在進行形ですが、インフルエンザなどでは口腔ケアで感染リスクが下がることがすでに報告されているのです。今回は、一日数回行う歯磨き&舌磨きを見直して、すこやかさを約束する口腔ケアをご紹介します。

 

全身を脅かす歯周病原細菌

口腔とは、簡単に説明すると「口の中」のこと。そこには、500〜700種類近い細菌が存在しています。もちろん常在菌もいますが悪玉菌もたくさん。代表といえるのが「虫歯菌」と「歯周病原細菌(以下、歯周病菌)」ですが、ウイルス感染と関係があるのは「歯周病菌」です。

歯周病菌は歯周病だけでなく、歯間から血液の中に入ると体調の悪化にもつながることがわかっています。実際、呼吸器や心臓などの疾患との関連が指摘されていて、かぜやインフルエンザについても歯周病菌を減らすことによって、ウイルスの細胞への付着を阻害できることも明らかになっています。そこで着目されているのが、新型コロナ対策としての口腔ケア。新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同じ付着構造を持っているため、歯周病菌を減らすことはとても有効だと考えられているようです。

食べカスが大好きな細菌たち

歯周病菌や虫歯菌などの細菌は、口の中の食べカスをエサにして増殖します。食後4〜8時間程度でネバネバとした粘液を出すプラーク(歯垢)となり、放置するとさらにすごい勢いで増殖し、約24時間後には石灰化。一日で歯石になってしまうとご存知でしたか?

しかも、プラークはうがいをした程度では落ちずに、歯の表面や歯と歯の間、歯と歯茎の間に付着し続けるとか。磨き残しを起こしやすい歯周ポケットは、歯周病菌にとって格好の増殖スポットというわけです。ちなみに舌の上に付く舌苔もプラークと同じ細菌のかたまりです。

歯周病原細菌はウイルスの味方?

磨き残しが多いほど歯周病菌にとっては格好の増殖条件となるお口の中。しかも歯周病菌には「プロテアーゼ」という酵素をつくり出す働きがあり、これが粘膜を傷つけて、ウイルスを侵入しやすくしてしまいます。粘膜が健康な状態なら、ウイルスは口に入っても悪さをすることはできません。つまり歯周病を抱えていたり、プラークが溜まっていたりと、口腔ケアが不十分だと、それだけ “ウイルスが活動しやすい環境”を整えてしまっているというわけです。

唾液の減少もウイルスにとっては好都合

また、唾液も感染症の予防や体の健康に重要な役割を果たしています。唾液には細菌やウイルスをブロックする「IgA」という防御免疫のための抗体が存在しているからです。ところがコロナ禍ではどうでしょう。人と話す機会が減り、ストレスは過多。さらに加齢による口の乾きが上乗せされたなら…。

唾液が不十分→IgAが足らない→細菌やウイルスをブロックできない。そんな環境がつくられ、IgAから逃れた細菌やウイルスが、傷ついた粘膜から侵入してきてしまいます。防御免疫が強ければ、お口の中にウイルスが入ったとしても、侵入を許さないので、そもそも感染しないのです。

【IgAが細菌やウィルスをブロックする仕組み】

レッツ、口腔ケア!感染予防対策の歯磨き&舌磨き

ここまでの話でプラークを取り除き、唾液で口内を十分にうるおわせておくことがいかに大切か、理解していただけたことでしょう。定期的に「歯医者さんでクリーニングを行っている」という方もいると思いますが、プラークは毎日たまるもの。日々、自分でケアすることは基本のキというわけです。

口腔ケアの三原則は「歯磨き」「舌磨き」「唾液の分泌」

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ここで、口腔ケアの原則を確認してみましょう。主に3つあります。

1. プラークを狙い撃ちした歯磨きを習慣に

食べカスは水で口をすすいだだけでも取ることはできますが、プラークは排水溝のぬめりのようなもの。落とすには、歯磨きが必要です。そこで見直したいのが正しい歯磨き。チェックしてみてください。

【正しい歯磨きチェック項目】
□面は歯ブラシの毛先を垂直に当てて磨いていますか?
□歯と歯ぐきの境目は、45°の角度でブラシが当たっていますか?
□軽い力で小刻みに動かして磨いていますか?
□1カ所あたり20回程度は磨いていますか?
□前歯の裏側も磨いていますか?

 

歯ブラシで落とせる歯垢は60%といわれています。それもきちんと磨けいる前提での話。歯ブラシの毛先が肝心なところに当たらなければ、プラークを残したまま歯磨きを終えることになってしまいます。また、プラークは力づくで取るものではありません。回数も雑に何回も磨くより、ちゃんと磨いて歯周病菌を減らすことができれば一日2回でも十分です。そのためにもタフトブラシやフロス、歯間ブラシを総動員させましょう。使うことで磨き残しは格段に減ります。

タフトブラシ

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奥歯の最奥や歯並びが悪いところの歯周ポケットはタフトブラシが便利です。

歯間ブラシ

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隙間が広い歯と歯ぐきの間の三角スポットには、歯間ブラシが適しています。歯間ブラシは鉛筆のように持ち、鏡を見ながらゆっくりと。ブラシの先端を斜め上に向けて挿入すると、歯ぐきが傷つくのを防げます。

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奥歯は口を閉じ気味にして、柄の部分で頬の内側を広げると入りやすくなります。

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挿入できたらブラシは水平にし、歯と歯ぐきの境目に添わせて力を入れずに前後に2〜3回動かします。歯の内側からと外側から両方行うのがおすすめです。ブラシについた歯垢は次の歯に移る前に、流水で流します。

フロス

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フロスはロールタイプやホルダータイプなど種類がありますが、簡単に使えるのはホルダータイプです。ここではホルダータイプの使い方をご紹介します。

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ホルダータイプのフロスは持ち手の前方をつまむように持って、
① 歯と歯の間にゆっくりと糸を滑り込ませます。
② 前後に小さく動かしながらゆっくりと滑り込ませます。

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③ 糸が歯茎に当たるところまで下ろします。

ただ引き抜くのではなく、歯の側面に沿ってこするイメージで動かすのが正しい使い方です。片方の側面を掃除し終えたら、もう片方も同様に。

終わったら前後にフロスを動かしながらゆっくり抜き出します。フロスについた歯垢を水で流してから次の歯に移ります。

ロールタイプのフロスの使い方はこちらから!
キレイな女性は使っている!デンタルフロスで輝く白い歯へ

2. 歯磨き剤にもウイルス予防効果

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歯磨き剤は「使う」か「使わない」かでは、使った方が効率よく歯垢は取り除けます。歯周病菌を減らすには、プラーク形成抑制効果や歯肉炎抑制効果を示しているものを選びましょう。洗口液も同様です。

美容業界で歯のホワイトニングに広く採用されている「ポリリン酸」を使用した歯磨き剤も高い人気があります。求める効果によって、家族の中であっても、それぞれ個別の歯磨き剤を使用している方も増えているようです。

3. 舌磨きは一日1回。朝起きたら

経口感染が多い感染症。インフルエンザに関しては、舌磨きを習慣にすることで感染確率を1/10にまで抑えるともいわれています。そこで歯磨きと合わせて習慣にしたいのが「舌磨き」です。

【舌磨きのポイント】
1) 舌は傷つきやすいので、基本は一日1回
2) タイミングは細菌が繁殖しているので起床後がベスト
3) 舌磨き→歯磨きの順に
4) 舌磨き専用のグッズを使う。歯ブラシは刺激が強過ぎる

 

詳しい舌磨きの効果・方法はこちらの記事から!
美肌にもダイエットにも効果的!舌磨きで目指せ!腸内美人【理論編】
美肌にもダイエットにも効果的!舌磨きで目指せ!腸内美人【対策編】

4. 唾液を気にかける

レッツ、口腔ケア!感染予防対策の歯磨き&舌磨き

日常ではほとんど意識することがありませんが、唾液は基本的には噛むことによって分泌されます。早食いや丸飲みはご法度。噛みごたえのある食材をメニューに加えたり、キシリトールガムを噛んだりするのも良いですね。ただし噛み過ぎはNG。歯をすり減らしてしまうからです。人によっては、摂取量により下痢をしてしまう場合もあります。唾液の分泌量は体内の水分量と関連していますので、汗でも水分が奪われるため体を動かした後など小まめな水分補給も忘れずに。

また、効果てきめんなのがマッサージです。食事の前に行えば、噛みやすさや消化の助けになります。マッサージが面倒な方は、できるだけ舌を動かしましょう。舌を動かすと舌下腺や顎下腺を刺激することができます。口を大きく開いて「あいうえお」と発声したり、思い切り舌を前に「べ~」と伸ばすだけでも刺激になります。

【唾液を増やす3つのマッサージ】

すぐにお口の中に唾液が溢れるのが感じられます。痛くない力加減で行いましょう。

●耳下腺マッサージ

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親指を除く4本の指を両頬に置いて、上の奥歯辺りを後ろから前に10回ほどゆっくりと回します。

●舌下線マッサージ

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両手の親指をあごの真下から舌を10回ほど押し上げるようにします。

●顎下腺マッサージ

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両手の親指を顎下の骨から内側のやわらかい部分に当てて、耳の下から顎の下まで5箇所を押します。各箇所5回を目安に。

詳しい「唾液力」アップの記事はこちらから!
コロナ禍で唾液分泌量がダウン? 今こそ高めたい「唾液力」

すこやかさを約束する口腔ケア

行楽の秋、思いっ切り外出したい気持ちを抑え、コロナの収束を願う毎日ですが、感染経路の一つである口腔内を清潔に保つことは意味のある予防対策です。防護免疫を優位にしておくためにも、歯みがき習慣を見直してみてくださいね。毎日数回必ず行う歯みがき。自宅での口腔ケアをバージョンアップさせることで、すこやかさが約束されるのですから、意識しないテはありませんよね。さっそく、今日から始めてみましょう!

参考

https://www.jda.or.jp/corona/New-normal.html

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