「肌」と「脳」切っても切れない、密接な関係

日進月歩の化粧品開発。これまでも化粧品の使用がもたらす心理作用についての研究は行われてきましたが、近年、研究が進んでいるのが「脳」と「肌」の関係です。心が満たされる肌感触は脳の活動を活発にすることがわかってきました。切っても切れない密接な関係の「脳」と「肌」についてご紹介します。

 

腸は第二の脳

心身の安定や安らぎに深く関与し、「幸せホルモン」とも呼ばれる「セロトニン」。精神面に大きな影響を与える脳内物質のため、かつては脳内に多く存在すると思われていました。しかし、現在では約90%のセロトニンが腸でつくられていることが研究結果としてわかっています。また、腸と脳は互いに多大な影響を及ぼし合うということも解明されてきました。

脳の表面(大脳皮質)にはおよそ150億の神経細胞があるといわれています。腸の神経細胞の数はおよそ1億。149億の差はあるものの、この数は体の臓器の中で脳に次ぐ多さで、腸の機能は脳が指令を出しているのではなく、腸が自ら判断してコントロールしていることから、腸は「第二の脳」と呼ばれるようになりました。

さらに腸は脳と約2000本の神経線維でつながっていて、緊密に連携しています。近年、注目されている「脳腸相関」と称される脳と腸の関係。ストレスで胃の当たりが痛くなるのは、脳から腸への影響。腸から脳への影響としては、腸に病原菌が感染すると不安感が増すといわれていたりもします。

美しさを司る“肌”は第三の脳?

一方、「第三の脳」として研究が進んでいるのが「肌(皮膚)」です。「皮脳同根」という考え方をご存知でしょうか。「ひのうどうこん」と読みます。私たちは中学の理科や高校の生物で、受精卵が細胞分裂を繰り返して外胚葉、中胚葉、内胚葉という3つの細胞層に分かれ、そこから各器官がつくられていく人体の神秘を学びました。3つの細胞層のうち外胚葉からつくられるのが脳と皮膚。同じ根を持ち、影響を及ぼし合っているというのが「皮脳同根」の考え方です。

実際、皮膚感覚を処理するための脳の面積はとても高い割合を占めるとされ、皮膚感覚が脳に与える影響は非常に大きいと捉えられています。例えば、マッサージ。マッサージで気持ちが落ち着いたりすることを思い浮かべると容易に理解できます。

心地よいテクスチャーや伸びの良い化粧品には、皮膚に備わっている神経物質が脳へ良い影響を与える働きがあるとも考えられています。逆も然り。ストレスで脳が疲れていると「肌が荒れる」、脳や神経がすっきりしていると「肌つやがいい」と感じることは日常的に経験されているのではないでしょうか?これらが肌は「第三の脳」といわれている理由です。「露出した脳」とも呼ばれてもいます。

第一の脳「前頭前野」に“快”をもたらすスキンケアを

「肌」と「脳」切っても切れない、密接な関係

「皮脳同根」の考え方からも、自身のマッサージやスキンケアの経験からも、皮膚感覚が脳に与える影響について、なるほどと理解できたことでしょう。実際、心が満たされる化粧品を使って肌に4つの感触がもたらされると、脳の前頭前野が活性化するとされています。

4つの感触とは、「柔らかさ」「ふっくら感」「浸透感」「ハリ感」です。

前頭前野は、大脳の前頭葉にある脳の最高司令塔。「考える」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」「判断する」「応用する」「集中する」「コミュニケーションをとる」など、人間らしくあるためにとても重要な働きを担う部分です。

快い感情によって反応し、高い満足感をもたらすともいわれているので、4つの感触を得られるスキンケア製品を使うことがいかに肌にとって大切であるかということもわかります。実際、触覚は指先が一番敏感とされ、心地よさを感じる触覚は顔のあたりに多いとされています。気持ちよさそうなものを見つけると、つい顔を埋めたくなってしまうのも、この感触が発達しているからです。ちなみに人間の前頭前野は大脳の約30%を占めているのに対し、チンパンジーでも7~10%くらいしかありません。

侮れない!ハンドプレス効果

「肌」と「脳」切っても切れない、密接な関係

サロンの施術では欠かせない「ハンドプレス」。ハンドプレスは、前頭前野の活性化にもつながるお手入れ法です。特に浸透感には欠くことのできないステップになります。浸透によってもたらされる柔らかさやふっくら感はいうまでもありません。実際、ハンドプレスによって前頭前野の血流が増えていることや、肌に触れることで得られる快感情によって前頭前野の活動が活発になります。

【ハンドプレスの正しい進め方】

スキンケアにおいてハンドプレスを丁寧に行うことは、特に忙しい朝などは、手間がかかり「面倒くさい」と思ってしまうかもしれません。穏やかに落ち着いた一日を過ごすために、快感情につなげるべくリラックスして行いましょう。喜びを感じるとき、前頭前野の血流が明らかに増えていることは、研究結果として報告されています。

洗顔やクレンジング後の清潔な手で。手が冷たい方は手のひらを擦り合わせたり、お湯で手を温めたりしてから行うといいでしょう。

化粧水を塗布した肌に、手のひらまたは指の腹をしっかり密着させて部位ごとに5〜10秒プレスします。押し込むのではなくソフトタッチがポイントです。

肌から手を離すときも一気に強く行うのではなく、刺激にならないようにゆっくりと。ただし、肌にトラブルを抱えているときは小休止。やさしく行なっているハンドプレスでも刺激になることもあるからです。

脳にも美容にも。一石二鳥の眼球体操

「肌」と「脳」切っても切れない、密接な関係

前出の感情のコントロールにも関わっている「前頭前野」はストレスに弱く、強いストレスに長期間さらされると、物忘れや思考力の低下、重い肩こりや睡眠トラブルなどを起こします。ストレスは大敵ですが、目の動きで前頭前野の血流が良くなることがわかっています。前頭前野は眼球とつながっているからです。

ところが、現代に生きる私たちはデジタル文化の発達で目を大きく動かすことが激減しました。目を動かさないため、前頭前野の働きも低下。加えて目の筋力も衰え、視野が狭くなることで脳疲労やメンタルの不調、ひいては体や顔にも歪みをもたらしがちです。そこで取り入れたいのが「眼球体操」です。脳の疲れだけでなく、メンタルや肩こりの改善ばかりか、目元のたるみや顔の歪みの予防につながります。

【目のぎゅ~ぱっ体操】 

視点を固定したまま行うのがポイントです! 簡単な体操ですが、眼精疲労のほか、肩こり・首こりにも役立ちます。目の神経は首の付け根の4つの筋肉(上頭斜筋・小後頭直筋・大後頭直筋・下頭斜筋)とつながっているからです。

「肌」と「脳」切っても切れない、密接な関係顔の前で腕を伸ばして、親指を立てます。

「肌」と「脳」切っても切れない、密接な関係目をぎゅ~っと閉じて10秒キープ。

「肌」と「脳」切っても切れない、密接な関係大きくぱっと目を見開いて、親指の先を見つめた状態で「上」「下」にゆっくりふる。5往復。

「肌」と「脳」切っても切れない、密接な関係再び目をぎゅ~っと閉じて10秒キープ。

「肌」と「脳」切っても切れない、密接な関係大きくぱっと目を見開いて、親指の先を見つめた状態で、顔を「左」「右」にゆっくり動かす。5往復。

皮膚が感じる心地よさは顔だけにあらず

「肌」と「脳」切っても切れない、密接な関係

ここまで肌と脳の関係について紹介してきましたが、皮膚が感じる心地よさは顔に限ったことではありません。心地よいボディケアはもちろん、肌触りの良いものと触り心地の悪いものを身につけたときも同様です。

肌触りの良いものに触れていると、「オキシトシン」や「セロトニン」が生成されることがわかっています。オキシトシンは「愛情ホルモン」と呼ばれるホルモン。安らぎやストレスの軽減、血圧を低下させたりする働きがあります。セロトニンは「幸せホルモン」。落ち着きや質のよい眠りをもたらすほか、やる気を増したり、自律神経を調整したりする働きがあります。

心地よい刺激のマッサージもこれら2つのホルモンを分泌します。元気がないときは、動かす手のスピードは素早く。ストレス過多でイライラしているときは、オイルやクリームをつけてゆっくりと行なってみましょう。どちらの状況でも、いわゆる筋肉をストレッチするような、もみほぐすマッサージではなく、やさしく撫でさするように行うことがポイントです。

「疲れ」は肌にも脳にも大敵

肌が冴えなかったり、なんだかお手入れに気が入らなかったりしたら、知らず知らずのうちに「お疲れ脳」に陥っているせいかもしれません。

複数のことを同時に行う「マルチタスク」や知らず知らずのうちに行なっている数多の情報処理は脳をとても疲れさせます。現在では意識せずとも、目や耳、つまり、視覚や聴覚を通して大量な情報が入って来ることで脳を酷使してしまっているのです。全て遮断することは現実的ではありませんが、「脳を疲れさせない」を意識するだけでも違います。

さらに、脳に必要な脂質「オメガ3」の不足も脳を疲労させます。EPA、DHAを含むイワシなどの青魚、亜麻仁油でオメガ3は積極的に取りましょう。逆に焼肉や揚げ物を食べ過ぎることで溜まるコレステロールは、脳の血管を汚す原因になるので取り過ぎには注意しましょう。

【オメガ3を含む食べ物】
イワシ、サバ(缶詰もOK)、亜麻仁油、クルミ

 

肌と脳、どちらもいたわって相乗効果を!

肌と脳の密接な関係がおわかりいただけましたか?肌にとって心地良いことは脳にも快く、脳にとって快いことは肌にとっても心地良いと、どちらにもとっても良い効果をもたらします。肌と脳、どちらもいたわることを念頭に、相乗効果を狙って、「快」を感じる感覚に大切に、肌のお手入れやエクササイズ、マッサージ、オメガ3の積極的な摂取を日常的に取り入れていきましょう。

最新の美容情報を受け取る!

最新の美容情報を受け取る!

よろしければ いいね!をお願いします

Twitterで

スキンケアの最新記事