一年中降り注ぐ紫外線。紫外線対策はオールシーズンが常識になり、日焼けから肌を守ることの大切さは誰もが知るようになりました。一方で、まだまだな印象を受けるのが紫外線A波に対する理解。日焼け止めを選ぶとき、見るのはSPFの数値でPAは無意識となっていませんか?自然老化よりも怖い紫外線A波についておさらいしていきましょう。

 

紫外線を制すには正しい基礎知識から

春先から増え始める紫外線。私たちは日差しに強さを感じると、紫外線も強いと思いがちです。これは間違いではありませんが、UVBの紫外線量は暖かくなり始めた4月でも、UVBは残暑の厳しい9月とほぼ同じ。UVAに関していえば、5月が年間で一番多いというデータが示されています。まずは正しいUVケアを行うためにも、紫外線の基礎知識をおさらいしておきましょう。

【紫外線の到達量】

地表に届く紫外線は少量のUVBと大量のUVA

紫外線は可視光線や赤外線と同じ、太陽光の一部です。波長の違いによってA波(UVA)、B波(UVB)、C波(UVC)に分けられています。波長がいちばん短いUVCはオゾン層に吸収させてしまうため、地表には届きません。UVBも波長が短いためオゾン層や上空の雲によって阻まれますが、完全には遮断されずに地表に到達します。ではもっとも波長の長いUVAどうでしょうか?オゾン層も雲も通過して地表に到達し、窓ガラスをも透過して室内にも入り込んできます。地上に到達する紫外線量の約9割はUVAというのが現実です。この割合からもUVA対策も必要なことがわかると思います。

季節や時刻による紫外線量

厳密には地表の紫外線量は緯度や標高、天気、大気中のチリなどに左右されますが、紫外線量は季節や時刻によって変わります。ピークは春から夏にかけて。UVAは5〜6月で、真夏とほとんど同じになり、UVBも5月には真夏の8割程度に達します。9月以降はUVAもUVBも減りますが、UVAは冬でも夏の半分程度の量が降り注いでいます。

時間帯ではUVBは午前10時から午後2時くらいまでが多く、ピークは正午前後。UVAもピークは同じ正午前後ですが、夕方にかけてもあまり減りません。

エネルギーの強弱

波長が短いほどエネルギーは強くなります。UVCは波長が短く幸いにも地上に届くことはありませんが、生物のDNAに傷をつけてしまうほどのエネルギーを持っています。

波長が短いUVBもエネルギーが強く、表皮の細胞にダメージを与えます。日焼けを起こす力で比べるとUVBはUVAの600倍〜1000倍といわれるほど強力です。DNAを損傷することもあり、世界保健機関(World Health Organization:WHO)では皮膚がん発症の主要な要因の一つとしています。

UVAは波長が長いためエネルギーはUVB、UVCと比較し危険度が低いとされていますが、実は9割も地表に届き、窓ガラスを通して部屋の中にも入り込みます。さらに、肌の奥深くにまで浸透し、時間をかけて大いなる影響を与えるのです。美容の観点からは、間違いなく危険度の高い紫外線です。

UVAも日焼けを起こす

ここで付け加えておきたいのが、日焼けはUVBだけが起こすのではないということです。UVAにはUVBほどのサンバーンを起こす力がないだけ。肌が黒く(小麦色)なることを黒化といいますが、黒花はUVAとUVBは別のタイミングで起きています。日差しを浴びて肌が赤くなったり、ヒリヒリしたりするのは、UVBのしわざ。赤みが引いた後に黒化が始まります。一方、気づいたら焼けていたという自覚のない黒化はUVAによるもの。通勤や買い物、散歩、洗濯物干しetc.短時間浴びただけですぐに始まってしまいます。明るい肌をキープするには、UVAも意識してしっかり防ぐことが大切です。

肌の老化は加齢が2割、紫外線が8割

目には見えませんが、窓ガラスも透過して日常に蔓延しているUVAは「生活紫外線」と呼ばれたりします。これに対して、屋外での日焼けの主な原因となるUVBは「レジャー紫外線」と呼ばれます。レジャーには気合いを入れてしっかり日焼け止めも塗る。日傘もさして焼けないようにする。しかし、家の中ではどうでしょうか?日焼け止めどころか「今日はすっぴんで」という日もあるのが生活。

ところが、そのすっぴんの肌の表面を超えて神秘層に到達してしまうのがUVAなのです。線維芽細胞にダメージを与えて、コラーゲンの合成能力を低下させます。しかもUVBのサンバーンのようにわかりやすくないのがUVA。長期間の蓄積によって、シミ、しわやたるみをつくり出してしまうのです。これは加齢による自然老化とは異なり、紫外線による外部刺激によって引き起こされるもの。コラーゲンの劣化は肌の保湿力の低下にもつながってしまいます。

実際、肌の老化は加齢によるものが2割で、紫外線によるものが8割ともいわれています。WHOも光老化の主要な要因の一つにUVAを上げていますが、逆の視点から見れば、UVBだけでなく、UVAもしっかり防ぐことで8割の影響を6割、5割と減らしていくことが可能というわけです。

年齢を重ねても紫外線をほとんど浴びていない人の内腿の肌は柔らかく、ゴワゴワ感はありません。細かいしわはあっても、深く刻まれたしわはありません。これが自然老化なのです。

日焼け止め選び。PAもチェック!

紫外線の基礎知識をおさらいしながら、UVAが肌老化に及ぼす影響についてきれてきました。「日焼け止めはSPFで選んできた」という人が多いと思いますが、これからは真皮層のダメージの原因となるUVAを防ぐ指標となるPAにも意識を向けていきたいものです。「SPFが高ければ、PAは不要」というのも大いなる誤解です。総合的なガードには両方必要です。

PAは「Protection grade of UVA」の略。評価システムは日本で考案され、日焼け止め製品の開発の一環として、UVAからの保護力を評価するための指標として、日本で導入されました。(今ではEUやアメリカもUVAの防止力の重要性を感じ、指標を出しています)

PAの防御力の度合いは4段階「+」マークで表示され、「+」の数が増えるにつれ防止効果が高くなります。化粧下地やファンデーションはPA++のものがありますが、日焼け止めはPA+++以上がほとんどになっています。大切なのはシーンやどれくらいの時間紫外線を浴びるか。特に乾燥肌や敏感肌の人がSPFも+も高ければそれだけでOKという感覚で選択してしまうと、肌に余計な負担がかかることもあります。

【生活シーンに合わせた日焼け止めの選び方】

塗り方は隙間なく均一に広がっている状態がベスト

最後に日焼け止めの塗り方のポイントをご紹介しましょう。顔の場合は各日焼け止め製品に表示されている適正量を手に取り、両ほお、額、鼻、あごの5点に置きます。

のばすときは手を大きく動かしながらやさしく。そしてほお→額→鼻→口のまわり→目元の順に中指と薬指を使って丁寧になじませます。

重ねづけは途中でつけ足したりせずに、顔のすみずみまでなじませてからもう一度同量を取って顔全体に。化粧下地やファンデーションを使う場合は一度塗りで大丈夫です。首はしっかり伸ばして、下から上へ。耳の後も忘れずに。

【顔と首の日焼け止め塗り方】

体も顔同様に、製品に表示されている適正量を丁寧にムラのないよう均一に塗り込むことを意識しましょう。

とにもかくにも「UVから肌を守る」!

紫外線A派の怖さをご理解いただけましたか?紫外線量上昇中のこの時期、日焼け止めはもちろん、日傘や帽子も活用してしっかり「肌を守る」ことを意識してください。その際に、サングラスも必須です!目に強い紫外線が入ると脳が防御反応を示して、体内にメラニンを生成し、肌を守れという司令を出してしまいます。目からも日焼けする可能性があるということも念頭に置いてソンはありません。また、日焼け止めは顔だけでなく、首の前後・左右、耳、デコルテラインも塗り忘れなく!ノースリーブトップスを着用しているとき、肩や腕への塗り直しが面倒という方は、UV防止効果のある長袖のトップスを着用するのも賢い選択です。UVケアを怠りなく、肌見せの季節を楽しんでください。

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