秋こそ美白! 2大成分「アルブチン」と「ハイドロキノン」を徹底解説

記録的な猛暑だった2023年の夏。晴天続きで、強烈な紫外線に4ヶ月間さらされたといっても過言ではない夏でした。UV対策をしていたとしても、肌のダメージは例年を超えていると考えるのが自然。しかも肌は季節を後追いします。「美白は夏のお手入れ」と、秋になるとホワイトケアを怠ってしまう方、紫外線ダメージへのお手入れの続行は必須です。そこで今回は、守りの美白成分「アルブチン」と、攻めの美白成分「ハイドロキノン」に着目して、その違いや働きをご紹介します。

 

まずはおさらい。シミができるメカニズム

紫外線は肌のエイジングに大きな影響を及ぼします。皮膚の細胞内に大量の活性酸素を発生させ、真皮のコラーゲンやエラスチンを破壊・変性へと導くのも紫外線。これがしわやたるみの原因になるわけですが、表皮では増え過ぎた活性酸素によって、メラノサイトや酵素であるチロシナーゼが活発化。結果、大量のメラニンがつくり出されるという事態が発生します。

若くてターンオーバーが正常な肌であれば、大量のメラニンも最後は垢となって剥がれ落ちます。真っ黒に日焼けをしてもシミ一つ出来ずに、もとに戻ってしまう子どもの肌はまさにそれです。

しかし、年齢を重ねた大人の肌はそうはいきません。加齢などで代謝が衰えると、ターンオーバーも乱れがちになります。若い世代の28日周期のターンオーバーも大人世代では、40日、50日と周期が長くなってしまうのです。そのため、メラニンが表皮のあちこちで沈着し、シミやそばかすとして残る事態に。皮脂の酸化もメラニンを過剰につくり出す原因の一つなので、今年のように夏が暑くて長かった年の秋の肌は、メラニンが渋滞しているような状態です。

酵素チロシナーゼ:酵素であるチロシナーゼ

「美白」の本当の意味とは?

「美白」という言葉から連想される、シミ一つない白肌。しかし、本当のところの美白とはシミを消したり、肌を白くしたりすることではありません。美白とは「メラニンの生成を抑え、日焼けによるシミ・ソバカスを防ぐ」こと。まずは正しく理解しましょう。

「美白*」 と*付きの文言を目にすることが多いですが、上記のように記載されているはず。そこで、「シミは消せないの?」とガッカリされる方もいることでしょう。しかし、新たにシミをつくらない予防効果やシミを薄く、目立たなくする働きで、色素沈着やくすみのない明るい肌を手に入れることは可能なのです。

得意分野が異なる美白成分

では、「美白」を目指すために、どのようなスキンケアを行なっていけばいいのでしょうか?そこで、美容業界においても美白成分として広く浸透している2大成分に着目してみましょう。

「アルブチン」と「ハイドロキノン」です。美白への作用が期待できる成分ですが、それぞれに“得意分野”があります。具体的には3つに分類されます。

①メラノサイトの活性を抑えたり、メラニン生成の指令に関係するチロシナーゼの働きを抑えたりすることが得意

②メラニン色素を還元して、薄くするのが得意

③役目を終えたメラニンが肌に定着してシミにならないように、排出を促すのが得意

 

アルブチンもハイドロキノンも①②の作用があるものの、ハイドロキノンはアルブチンより、その作用が強力とされています。簡単に分類すると、アルブチンは、これからのシミやソバカスなどの防ぐのが得意。ハイドロキノンは、すでに出来てしまっているシミやソバカス、色素沈着を薄くするのが得意というわけです。もちろん、美白成分は他にも、①②③の作用を持つ「ビタミンC」「ビタミンC誘導体」をはじめ、「トラネキサム酸」「ルシノール」「コウジ酸」「エラグ酸」「プラセンタエキス」「カモミラET」「リノール酸」「4SMK」など数多くあります。

厚生労働省が認めている「アルブチン」

化粧品に配合される成分の中には、美白有効成分として厚生労働省が認めているものが20種類程あり、アルブチン(1989年に認可)も含まれます。認可成分が一定の濃度含まれている化粧品は「医薬部外品」と呼ばれ「薬用」という表現も認められています。ただし20種類程ですから、「医薬部外品」に使用できる美白成分はかなり限定されています。そして、あくまでも化粧品です。医薬品ではありません。



アルブチンはハイドロキノンとブドウ糖が結合したもので、結合の違いによってα-アルブチン(サンタベリーやコケモモや梨に含まれる)とβ-アルブチン(生薬のウワウルシに含まれる)があります。ともにメラニン色素の合成にかかわるチロシナーゼという酵素の活性を阻害して、メラニン色素の合成を抑制する働きがありますが、肌への親和性にも優れたαの方がβより優れた美白効果を発揮することがわかっています。合成のα-アルブチンもあります。

医療でも使われる「ハイドロキノン」

一方、厚労省が認めていなくても効果のある美白成分も多数存在します。強力なメラニン生成抑制作用を持った「ハイドロキノン」はその代表格。もともとは写真の現像などの還元剤、染料やゴムの酸化防止剤として昔から世界で使用されていた成分で、写真の現像をしている人の手が白くなっていたことから美白効果があると発見されました。

日本では効果・効能の高さから、医師の管理下で医薬品として医療機関、皮膚科などでのみ使用が許可されていましたが、2001年の化粧品への規制が緩和されました。厚生労働省が認めた美白有効成分ではないため、医薬部外品の薬用化粧品に配合することはできませんが、アルブチンと同じように強力なメラニン生成抑制作用に加えて、還元作用があることが最大の特徴です。チロシナーゼを抑制する働きはアルブチンよりはるかに強力といわれています。 

じっくり使い続けてこそわかるアルブチンの実力

秋こそ美白! 2大成分「アルブチン」と「ハイドロキノン」を徹底解説

アルブチンはハイドロキノンの強い効果にブドウ糖を加えて分子を安定化させているため、安全性が高く、比較的肌の弱い人でも顔全体に使いやすいのが特徴です。美白有効成分として認定されてから30年以上が経過しており、使用実績も積み上がっています。とはいえ、人の肌は千差万別。「肌に合う、合わない」はもちろんあります。使用前にはパッチテストを行うと安心です。特に敏感肌と思われる方は少量から試してみましょう。

アルブチンは即効性は弱く、使い続けることで効果をもたらす成分のため、継続して使うこともポイントです。美白効果だけでなく、抗酸化作用や抗炎症作用もあるので、皮膚のダメージを緩和する効果も期待できます。

強い紫外線に当たると、わずか5秒でメラノサイトが活性化し始めるといわれています。朝晩のスキンケアにアルブチンを取り入れることは、守りのケアとして「鉄板」です。濃度が高い方が効果を実感しやすいので、できるだけ成分表の前方にアルブチン、またはαアルブチンが表記されている化粧品を選ぶことをおすすめします。

アルブチンはサプリメントから摂取することもできます。メラニンの生成は紫外線を浴びてから24〜72時間とされているので、サプリメントによるインナーケアは安心材料になるはずです。

ハイドロキノンは夜のお手入れに

ハイドロキノン配合のスキンケア製品を選ぶ際は、濃度や肌への影響など含めて注意深く使用する必要があります。厚生労働省の認可がないハイドロキノンは「薬用化粧品」には配合できませんが、逆に一般的な化粧品にはかなり高濃度で配合することが許されているからです。濃度が高ければ効果も高くなりますが、併せて刺激も強くなるので、まずは1〜2%未満のものから段階を追って使用したいものです。ちなみにアメリカでは2%以上は医師の管理の下で使用するよう義務付けられています。即効性より安全性を第一優先に。

ハイドロキノン濃度 1〜3% 4〜5% 6%以上
入手方法 市販・皮膚科 市販・皮膚科 皮膚科
肌への刺激 比較的少ない 刺激を感じる場合はある 副作用の可能性にも注意
日常でのケア 紫外線対策 紫外線対策・保湿 医師の指示に従う

 

ハイドロキノンの使い方としては、基本的に一日1回。夜のお手入れに組み込みましょう。ハイドロキノンは紫外線に当たると、逆にシミを目立たせてしまう可能性があります。朝の使用は避けるのが得策です。そして、ハイドロキノンを使用している間は、必ず日焼け止めも使用すること。SPF20以上が推奨されています。また、ハイドロキノンは効果が高い成分なだけに、高濃度で長期間使い続けると白斑が発生するリスクが高まることもお伝えしておきましょう。

ハイドロキノンについては、b.glenish!のバックナンバーでもご覧いただけます。

美白成分を多角的に取り入れたスキンケアを!

秋こそ美白! 2大成分「アルブチン」と「ハイドロキノン」を徹底解説

いかがでしたか?今回は、美白成分「アルブチン」と「ハイドロキノン」にフォーカスしてご紹介しました。それぞれの成分に得意分野があることを理解すると、スキンケアにおいて「美白成分は一種類だけ使用すればいい」わけではないことがわかります。また、3つの得意分野を網羅する成分「ビタミンC」「ビタミンC誘導体」をアルブチン、ハイドロキノンを合わせてお手入れに取り入れていくのが得策であることも理解できます。美白ケアには、多角的な美容成分が必要なのです。

いずれにしても、美しい肌を保つには、まずは紫外線を防ぐこと。そして「ただ、なんとなく美白コスメを使っている」モードを脱して、美容成分の働き、使用方法や副作用の可能性もしっかり理解した上で、必要な成分が適切に配合されたスキンケア製品を用いて、継続してお手入れをすることが大切です。夏の紫外線ダメージを冬までに持ち越さないよう、ケアを続けていきましょう。

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