マインドフルネス瞑想アプリがアメリカで爆発的人気の理由

新年度、新学期が始まる春は、なにかと慌ただしくなりがち。忙しくなったり、新しいことをやる機会が増えたりすると、気付かない間にストレスがたまっていたりしますよね。エクササイズや散歩の時間も取れないほど忙しいとき、あなたはどうやってストレスを解消していますか?

マインドフルネス瞑想アプリが売れ続けている

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今年3月、マインドフル瞑想とリラックスのためのアプリ、「カーム(Calm)」に2億5000万ドル(約27億円)の企業価値がついたことが、CNBCのニュースになりました。カームは、アップル社が2017年の「iPhoneアプリ・オブ・ザ・イヤー」に認定したアプリです。瞑想ガイド、快適な音楽、就寝前の物語音声などを通して、ユーザーにより良い睡眠と、自信向上、ストレスと不安の緩和を提供することを売りにしています。アプリは無料でダウンロードできますが、購読制になっていて、1ヶ月から1年まで購読期間が選べます。1年間の使用料金は、39ドル99セントか59ドル99セント(プレミアム)。同様のサービスを提供する人気アプリの「ヘッドスペース」も、今年1月に2億5000万ドル価値がついたと発表されました。瞑想用のアプリは何年も前から存在していましたが、今になって急速な伸びを見せるようになったのは、「マインドフルネス」という、カジュアルな瞑想法が普及したことが大きな理由ではないかと思われます。カームもヘッドスペースも、マインドフルネス瞑想がプログラムの基本になっています。

マインドフルネス瞑想とは?

かつては瞑想というと、ヨガのクラスと同じようなカテゴリーにあり 、ヨガ同様に、スピリチュアルな体験を追求するために行うものというイメージを、多かれ少なかれ誰もが抱いていたように思います。座禅も瞑想の一種ですが、私は小学生の時に修学旅行で行ったお寺で座禅を初体験したので、心のどこかで瞑想には宗教的で堅苦しいイメージを持っていました。

しかし、近年広まっているマインドフルネス瞑想は、精神修行やスピリチュアルなことは一切入れずに行う瞑想で、もっと実用的でカジュアル。スピリチュアルというよりも、自己啓発に近いスタンスで、本当に手軽に始めることができます。アプリのガイダンスを利用すれば、どこでもすぐにできるのです。YouTubeにも、同様のガイダンス映像がたくさん検索できます。

「自分は瞑想ができないと思っていたけれど、このアプリでできるようになった」「生活が変わった」「不眠が改善された」「過食を止めることができるようになった」など、多くの人たちがその効果を証言しています。

瞑想アプリ「カーム」とは?

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ジムでヨガのクラスに通っていたとき、 ヨガの最後や最初に瞑想をするクラスもあったのですが、どうしても集中できずに苦手意識を持っていた私。ジムのクラスだと周囲に人がいるので、それだけで集中しにくかった覚えがあります。でも、家でアプリを使ってやるならできるかもしれないと、カームを体験してみることにしました。

アプリをダウンロードした後は、サインアップをするだけですぐに使えるようになります。すると、まずトップページが現れ、このアプリで達成したい目標を訊ねられます。ゴールは8項目あり、「瞑想法を学ぶ」の他、「感謝の気持ちを高める」「より良い睡眠」「集中力の向上」「不安感を減らす」「自信をつける」など、自分が瞑想から得たい目的を好きなだけ選ぶことができます。選択後、その目的に沿ったプログラムを提示してもらえる仕組みです。どの項目を選ぶにしても、大切なことは、「瞑想をするときには、好奇心を持って、心を開き、批判意識を持たないこと」とカームはアドバイスしています。

ユーザーの一番人気は毎日アプリを開くと最初に表示される「今日のカーム(静かな時間)」。10分間のガイダンス付きの瞑想になります。一日の始めに行って、快適に一日を過ごす手段として利用しているユーザーが多いそう。

アプリを始めたばかりの人たちに、マインドフルネス瞑想の基本を1週間で教えるコース「カームの7日間」もあります。この7日間プログラムは、他にも「集中の7日間」「ストレス軽減の7日間」など、目的に合わせたプログラムが揃っています。カームは1週間の無料お試し期間があるので、まずは「カームの7日間」を試してみました。

「カームの7日間」にトライ

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瞑想の説明からスタート

瞑想の間に見られるスクリーンの画像とBGMは、さまざまな景色と自然の音を選べるようになっています。そして、女性の声で瞑想の説明が始まります。

「カームの7日間にようこそ。あなたがこのプログラムに参加してくださったのは、日々のストレスや不安感を減らすためかもしれません。あるいは、健康を向上させて、快適な睡眠を楽しめるようになりたいからかもしれません。私たちは現在、これまでにないストレスと不安を感じるようになっています。毎日、成功しなければというプレッシャーを自分に与えたり、成功しなかったときに自分を責めたりしています。毎日忙しく働いて、夜は疲れ切って眠り、週末が来るのを待ち望むのです。そして、忙しく働きながら、自分の達成できなかったことを後悔したり、次にやらなければならないことを心配したりしています。この日々の過剰なストレスをどうにかしようと、ビジネスマン、スポーツ選手、学生を始め大勢の人たちが、マインドフルネスを始めているのです。

マインドフルネスは、目を覚まし、注意を払い、今この場所に存在することで、最善の生活を送れるようにする手段です。いろいろな状況に落ち着いて対応したり、健康的な習慣に気付くことができるようになったりと、新しいことを学べます。さらに、忍耐強くなること、批判の目をあまり持たないようになること、自分自身と他の人たちにもっと思いやりを持てるようになるなど、さまざまな面で助けとなります。2011年のハーバード大学の研究結果によると、マインドフルネスを行うことで、脳の記憶、自我意識、共感、ストレスを司る部分が大きく向上したと発表されました。そして、マインドフルネスを行う上で一番いい方法が“瞑想”なのです」。

瞑想の練習

瞑想の説明の後に始まった1日目の練習は「意識に集中するための呼吸瞑想」です。

「椅子かクッションの上に快適なポジションで座り、背筋を伸ばし、目を閉じます。手は膝か太ももの上の快適に感じられる場所に置きます。上半身はそびえる山のように高く伸ばし、口角を緩めて、舌先に意識を向けてリラックスさせてください。体を休めながら、優しく呼吸しましょう 。息が体に入って来ること、そして息が体から出て行くことに意識を向けて、息を吸う時にお腹が膨らみ、吐く時にお腹がへこむことにも意識を向けましょう。 必要であれば、息を吸う時に1、吐く時に2と数えてみてください」。

約10分の瞑想を終えると「おめでとうございます、あなたは1日目を終了しました。明日は呼吸のテクニックをやりますので、楽しみにしていてください」と誉めてもらえる上に、翌日も続けるように励まされます。

1週間のコースを終えて

「7日間のカーム」を1週間続けてみました。毎日続けるとそれが習慣になるので続けやすくなり、1週間続けられたという達成感もあって、さらに続けたくなりました。私の場合、この1週間で確実に感じられた効果は、やらなかった時よりも、布団に入ってから眠るまでの時間が短くなったこと。いつもは眠る前にあれこれと雑念が浮かんでしまって、なかなか寝付けないことが多かったのです。そして、「新しいことを続けられた自分」という小さな自信がつきました。カームの唱える 「自信向上」を感じることができたのです。ただ、一つだけ満足できなかったことは、毎回瞑想が始まる前の説明が長過ぎて、説明を聞くことに集中しなければならなかったことでした。でも、私のように思う人のために「カーム・ライト」とういガイダンスが少ない瞑想もあります。これは3分から30分まで、好きな長さが選べるようになっているのです。「カーム・ライト」はより手軽なので、今後もしばらく使い続けてみるつもりです。

無料瞑想アプリ 「ストップ、ブリーズ&シンク」を体験

カームは1週間の無料体験期間が経過すると、キャンセルをしなければ自動的に購読料が差し引かれる仕組みになっています。「継続できるか分からないから、有料のアプリを使い始めるのは不安……」という方には、無料のアプリもおすすめです。

1分間のマインドフルネス瞑想

無料のアプリはたくさんありますが、いろいろと覗いてみたところ、 空気の顔のようなアイコンが可愛らしい「ストップ、ブリーズ&シンク(止まって、呼吸して、そして考えて)」が目に留り、試してみました。

まずトップページには、「目を閉じて、深呼吸して、意識と体がどう感じるかを考えて」というキャッチフレーズが現れます。カームを1週間体験してみて学んだことですが、このシンプルな言葉は、マインドフルネス瞑想の基本です。実際には、目を閉じずに、少しうつむいたり、視点をどこか一点に定めるだけでも、マインドフルネス瞑想ができます。呼吸に意識を集中し、自分の意識と体がその時に感じることに意識を集中して、「マインド」を常に「今」に向ければいいのです。言葉にすると簡単に聞こえますが、実際にやってみると、普段はまったくやらないことなので、なかなか大変。

このアプリには、1分という短さの初心者にはうってつけのマインドフルネス瞑想も入っていました。この瞑想のガイダンスは「意識を呼吸に集中してください。何か雑念が入って、意識が離れ始めたら、また呼吸に意識を戻してください。これを1分間続けてください」というシンプルなもの。これならアプリがなくても、今、始められますよね?何分もじっと座っていることが苦手な私には、とても始めやすいプログラムで気に入りました。

コンディションを確認しながら行うアプリ

「ストップ、ブリーズ&シンク」は、毎回、自分の状況を報告してから始めることで、その日の体調や感情に合ったプログラムが選べます。まずチェックインをクリックすると、「私の体調は…」と質問されて、「最高、良い、まあまあ、良くない、ひどい」という5項目から自分の状態を選びます。次に「精神状態は……」と表示されるので同じように答え、最後に「感情は……」と訊ねられ、80項目以上ある喜怒哀楽の表現の言葉から5つ以内でその時の自分自身の感情、気持ちを選びます。すると、その日の自分に合わせた目的別の瞑想セッションが4つほど提示されて、その中から自分の好きな長さと目的の瞑想(ヨガや散歩などのプログラムも含む)を選ぶことができるのです。

例えば、初日の私はちょっと気分が落ち込むことがあって、「落ち着かない」「心配」「悲しい」などの感情を選んだのですが、「感謝」という8分の瞑想、「変化」という7分の瞑想、「ストレス向けのヨガ」という15分のビデオ、そして「眠り」の2分の瞑想をおすすめされました。その日は就寝前だったので 「眠り」の2分間の簡単な瞑想を行いました。最初に訊ねられる体調、精神状態、その時の感情を、セッションを終えた後にも、再度質問されます。面白いことに、たった2分の瞑想の後も、なんだか少し気分がすっきりして、安心感が出てきたのが感じられて、「落ち着いた」「安心感」など、いい感情の単語を選べるようになっていました。マインドフルネス瞑想の効果を、終えた瞬間に目に見える形で確認することで、繰り返してやってみるモチベーションが持てました。この点が私はとても気に入りました。

マインドフルネス瞑想をもっと気軽に

マインドフルネス瞑想は、継続すればするほど、効果が実感できるもののように思います。「1分間、呼吸に意識を集中して 深呼吸を繰り返す」、これだけでも充分なのです。そのため、やり方を覚えてしまえば、アプリなしでも実践できます。しかし、数多くある アプリから自分に合うものを探して、お気に入りのアプリに応援してもらいながら、瞑想を行うと継続しやすくなるものです。忙しい毎日に飲み込まれてしまいそうになったら、このマインドフルネス瞑想を、もっと気軽な気持ちで試してみてはいかがですか? 瞑想に苦手意識がある人こそ、思わぬ効果に驚き、はまってしまう可能性が大ですよ。

参考文献

http://www.businessinsider.com/calm-meditation-app-cost-pictures-valuation-2018-3
https://support.calm.com/hc/en-us/articles/115002474567-What-s-the-best-way-to-use-Calm-Where-do-I-start-

この記事を書いたライター

Beauty Lifestyle Writer

洋楽専門誌編集部に勤務したあと、1999年、カリフォルニア州ロサンゼルスに移住。フリーの音楽ライターとしてライナーノーツ執筆・取材・ライブレポートなどを数多くこなす。ファーマーズマーケットで仕入れる地元の食材を使ったナチュラルな生活と音楽ライブがエネルギーの源。

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