「まさか、私が?」いびきと加齢。改善策はある?

ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が何より重視していると明言しているのが「睡眠」。コンディションキープのため、パフォーマンス向上のためが最大の理由のようですが、睡眠の質はメジャーリーガーでなくても、私たちにとって日中の活動や健康状態、ひいては美容にも大きく影響します。年齢を重ねることで睡眠にまつわる悩みが増えてくるのも事実。今回は「まさか、私が?」と思っている方こそ要注意!大人の女性に急増している「いびき」に着目し、その原因や対策についてご紹介します。
目次
・5つの睡眠の役割をおさらい
・睡眠の質を低下させてしまう「いびき」
・日常生活にも潜んでいるいびきの原因
・いびきの録音もできる!睡眠系アプリはコレ
・いびきを改善!睡眠の質を高めるためには…
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5つの睡眠の役割をおさらい
生きていく上で必要な「睡眠」。一日〜二日程度の徹夜はできても、ずっと寝ずには生きていけません。それは、睡眠には5つの大切な役割があるからです。
【睡眠の5大役割】
① 脳をしっかり休ませて、体をメンテナンスする
② 自律神経やホルモンバランスを整える
③ 記憶を整理して定着させる
④ 免疫力を上げて、抵抗力を高める
⑤ 脳の老廃物を除去する
睡眠には「ノンレム睡眠(深い睡眠)」と「レム睡眠(浅い睡眠)」があることはご存知だと思います。おさらいしておくと、この2つがセットになって1回約90分。入眠から4~6回繰り返されて、目覚めに至ります。
交感神経を弱めて副交感神経を優位にするのも睡眠の役割です。代謝や体の成長を促す成長ホルモンは入眠直後ノンレム睡眠で分泌が活発になります。成長ホルモンが出るほど、新しい細胞が生み出されます。記憶の整理や消去にも睡眠が必要で、楽器の演奏やスポーツなどの技術を体が覚えてできるようになるのも、浅いノンレム睡眠のおかげです。
ところが、50歳前後から質の良い睡眠をとる力は衰えてきてしまいます。ぐっすり眠れなかったり、細切れ睡眠になってしまったり。その一方で、寝付きがよく、トイレに起きてもまたすぐに眠れ、目覚めはわりとすっきりしていて、日中眠くならなければ、質の良い睡眠がとれていると認識できます。
睡眠の質を低下させてしまう「いびき」
もともと女性は男性ほどいびきをかきません。女性ホルモンの一つである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」に、脳の呼吸中枢を刺激して気道を広げる働きがあるからです。
しかし、更年期に入るとプロゲステロンが大幅に減少します。「まさか自分がいびき?」と思うかもしれませんが、気道を広げる力が弱くなり、空気の通り道が細くなってしまうので、音(いびき)が出てしまうのです。数センチしか開いていない窓からは、風がヒューヒューと音を立てて入ってくるのと同じ原理です。そして「恥ずかしい」で済まないのがいびき。いびきは心身の疲労回復に必要なノンレム睡眠を短くし、睡眠の質を大幅に低下させます。
いびきは呼吸も浅くします。時に無呼吸になったりもします。低酸素状態になると体は緊張し、覚醒してしまうため深く眠れません。「酸素を取り込む呼吸」と「酸素を運ぶ血液」は美の根幹でもあります。低酸素は肌のターンオーバーの乱れ、くすみ、クマ、むくみなどの要因になります。
日常生活にも潜んでいるいびきの原因
プロゲステロンの減少は、女性にとっていびきを引き起こす大きな原因であるのは確かですが、気道が狭くなる原因は日常生活にも多く潜んでいます。
【1】 普段から口呼吸
鼻呼吸をしているとき、舌は上あごに軽く触れる位置に収まっているため、舌が気道を塞ぐことはありません。では口呼吸をしてみてください。口が開くと舌は上あごから離れ、喉や舌の位置が下がり、奥に落ち込んで気道が狭くなるのがわかるはずです。
【2】 舌の筋力低下

左上四角枠の左:舌根沈下の状態、右:正常
舌は筋肉の塊です。体の筋肉と同じように、加齢によって衰えも生じ、「舌根沈下」が起こりやすくなります。「舌根沈下」とは、仰向けになったときに舌の根元が喉の奥に垂れて、気道を狭くしてしまうことです。
【3】 肥満による首やのど、舌の脂肪
肥満になれば首や喉の周りにも脂肪がついて、気道が狭くなります。筋肉の塊の舌にも脂肪はつきます。
【4】 二重あご
もともと眠っているときは全身がリラックスし筋肉がゆるみます。喉の周りの筋肉も緩むので、気道は狭くなりますが、二重あごはさらに気道を圧迫します。
【5】 仰向け寝
仰向けは最もリラックスできる寝姿勢です。背中全体で体圧を支えるので、身体への負担が少なく余分な力も入りませんが、舌が重力で落ち込むため気道が塞がれやすく、横向き寝に比べるといびきにつながるといったリスクが挙げられます。
【6】 飲酒、喫煙、睡眠導入剤
アルコールを飲むと筋肉がゆるむため、「舌根沈下」が起こりやすくなります。アルコールは睡眠導入効果があるように感じられますが、実はレム睡眠を阻害し、夜中の覚醒を増やす傾向があります。
タバコは吸い続けると気道の粘膜が炎症を起こし腫れるため、いびきが習慣化されがちです。また、睡眠導入剤は筋肉を弛緩させる作用があります。服用すると喉周りの筋肉も緩んで気道が狭くなりやすく、いびきの原因になることがあります。
【7】 骨格
気道と顔面骨格の関係についても研究が進んでいます。鼻や下あごが小さい人は舌のつけ根が奥に落ちやすく、気道が狭くなります。アジア人は欧米人と比べて体格が小さく、いびきが出やすい骨格といわれています。
いびきの録音もできる!睡眠系アプリはコレ
一人暮らしや、寝室は別々という人が自分のいびきを見極めるために利用したいのが、睡眠系のアプリです。たとえば「いびきラボ(SnoreLab)」。いびきの録音データをもとに音量や発生頻度をスコア化して、日々の変化を振り返ることができます。無料版でもいびきの傾向は把握できます。いびきを改善!睡眠の質を高めるためには…

寝る前はスマートフォンを見ない、アルコールの分解時間を考えて飲酒は寝る4時間前にはやめるなど、睡眠の質を高めるために、すべきこと、したいことはいろいろあります。しかし寝る前こそ至福のスマートフォンタイムという方もいて、二次会まで参加したい飲み会もあるでしょう。お風呂もゆっくり浸かれない日もあるのが現実です。そこで、今回は面倒にならずに習慣にできることをピックアップしました。まずはここからスタートしてみましょう!
【1】 朝食でトリプトファンをしっかり摂取

睡眠の質をアップする神成分とまで言われる「トリプトファン」は、必須アミノ酸の一種です。体内で合成されないアミノ酸のため、食事やサプリメントで摂取しなければなりませんが十分に摂取することでほど、“良眠体質”に近づけます。
体内に取り込まれたトリプトファンは14~15時間ほどかけて、自律神経の安定を促すセロトニンに変換されます。睡眠のリズムを整えて眠気を誘うメラトニンはセロトニンを原料として分泌されます。14〜15時間を逆算すると、夜の睡眠の質に朝食が大切なことがわかります。
トリプトファンはアミノ酸の一種なので、タンパク質を含む食品から摂取できます。
【トリプトファンを含むおすすめ食品】
牛乳、ヨーグルト、豆腐、納豆、味噌、卵、バナナ、ピーナッツ
どれも朝食のメニューに取り入れやすいものばかりです。
トリプトファンからセロトニン、メラトニンへの合成をスムーズにするには、ビタミンB6と一緒に摂取することが望ましいとされています。鶏肉やカツオ、マグロなどの魚介類はトリプトファンとビタミンB6をともに含む食材です。
実は、お米もトリプトファンが豊富です。しかも必須アミノ酸のほとんどがお米に含まれています。糖質のイメージが強く敬遠されがちですが、ごはんと味噌汁に納豆や卵をつけた“トリプトファン朝食”は、理想的な睡眠導入メニューなのです。
【2】 朝日を浴びる
朝、太陽の光を浴びると体内時計が整いやすくなり、寝付きが良くなり睡眠の質が高まると考えられています。太陽の光を浴びると自然な眠りを促す「メラトニン」の原料となる「セロトニン」も分泌されます。
【3】 寝姿勢と枕

いびきの改善に効果的な寝方としては、横向き寝が推奨されています。横向き姿勢は重力の影響で舌が横方向に移動するため、のどの奥に落ち込むことを防ぐことができ、気道が確保しやすくなるからです。寝る時は意識的に横向きを保つようにしましょう。
枕に関しては、7cm以上は気道を狭める原因となるので注意が必要です。できればいびき対策に有効な横向き寝に特化した枕を味方に。首や肩に負担がかからない設計で、腕も痺れません。横向き寝には抱き枕も使うと体勢が楽です。
【4】 舌の筋トレ
舌の筋肉強化用のグッズもたくさんありますが、ここでは簡単に始められるトレーニングをご紹介します。
舌の上下運動(呼吸が苦しくない範囲で朝・晩1回ずつ)

✅ 舌を上あごに押しつける:10秒キープで5セット
※上あご全体に力を入れることを意識してください

✅ 舌を下方向に突き出す:10秒キープで5セット
※あご下の筋肉を意識してください
あいうべ体操

✅ 口を大きく開けて、「あ、い、う、ベー」と動かす:1セット10回を目安に一日3回
※「ベー」の時は舌を思い切り出してください
パフパフ運動

✅ 頬を膨らませて空気を左右に動かす:1セット10回を目安に一日2回
※左右に空気を移動させるときは空気が口からでないように!
この他、舌で前歯の裏からのどの奥にゆっくり動かして、上あごをなぞる「舌スライド運動」も、上記のトレーニング同様、舌の筋肉を鍛えることができます。いつでもできるため、逆に後回しにして忘れてしまいそうな内容ですが、毎日続けてこその効果です。
日常生活にも潜んでいるいびきの原因
いかがでしたか?深刻な睡眠時無呼吸症候群やいびきの治療については、口腔内装置(マウスピース)、持続陽圧呼吸療法(CPAP)、手術、生活習慣の改善など、さまざまな選択肢があります。その際は、意を決して歯科医師や耳鼻咽喉科医などの専門家に相談し、ご自身の状態に合った適切な運動や治療法について指導を受けることも検討してください。
今回は、それほど重度ではない方向けのいびき対策を睡眠の役割のおさらいとともにご紹介しました。舌の筋トレは、気になる口周りのたるみ、ブルドッグフェイス、マリオネットラインにも効果が期待できます。気軽にできるトレーニングなので、スキンケアの一環に取り入れてしまうのも一考です。睡眠の質を高める対策と併せて、意識を切り替えることで、良質な睡眠とともに年齢に負けない肌を手に入れることができます。
次回は「二度寝は本当に良くないの?」「高級なクリーム美容も布団に吸われていそう」「電車の中で寝ると夜眠れないは本当?」など、睡眠と健康&美容に関わるさまざまな疑問にお答えします。お楽しみに!
