敵?味方?「塩」の上手な取り入れ方はコレ

味付けはもちろん、生命を維持する上でも必要不可欠な塩分。なくてはならないミネラルですが、冬は「過多」になりやすいことをご存知ですか?そこで今回は改めて「塩」にフォーカス。塩分過多と敵視されがちな「塩」の健康と美容の関係や見分け方など、塩との上手なつきあい方をご紹介します。

 

1月11日は塩の日

まずはひとつ雑学を。1月11日は「塩の日」です。1569年のこの日に、武田信玄が宿敵の上杉謙信から塩を受け取ったことから設定されたとのこと。当時の甲斐・信濃は、信玄が駿河の今川氏真(うじざね)との同盟を破棄したため塩が入ってこない状況にあったとか。それを知った謙信が越後の塩を送ったとされる逸話です。史実ではないという説もありますが、「敵に塩を送る(争いの本質ではない分野においては援助を与える)」という故事の由来にもなっています。

また、英語の「salt」の語源になっているのが、ラテン語で塩を表す「salarium」。「給料に見合った働き」という意味合いで使われる「worth your salt」からも、塩の価値を知ることができます。

冬に塩分過多になりやすい3つの理由

冬本番。最近食べたものを振り返ってみてください。おでんや鍋もの、シチューや煮込みうどんなど温かい汁物がラインナップに入っていませんか?基本的に温かい汁物には塩分を多く含みます。冬の方が塩分過多になりやすい理由の一つがこれです。

二つ目は味覚感度の問題です。味を感じるには食べ物が唾液と混ざることが大切ですが、冬は寒さが口の中が乾燥し、唾液の分泌も減りがちです。そのためついつい濃い味を求めてしまいます。

三つ目の理由は、汗をかきづらい冬の生活は塩分過多になる可能性が高まります。仮に1ℓの汗をかいても、塩分は4g程度しか排泄されないとされています。1ℓは夏でもなかなかかけない量です。冬に塩分過多になるのは至極当然ともいえそうです。

日本人の塩分摂取量とWHOの基準

厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では18歳以上の日本人の1日あたりの塩分摂取量(食塩相当量)の目標値は、男性7.5g未満、女性6.5g未満とされています。

ちなみに現代の日本人の平均は約10g。この数値はWHO(世界保健機関)が推奨する5gの2倍です。5gはラーメンのスープを飲み干したら終わりです。10gは流石に多過ぎますが、少ないほど良いのではありません。極端な減塩は倦怠感や食欲不振、集中力や筋力の低下、低血圧などのリスクを高める可能性があるからです。

【塩は生理的機能をサポート】

・細胞内外の浸透圧を調整する
・汗を出して体温を調整する
・食欲や味覚を正常に保つ
・食べ物の消化・吸収を助ける
・神経や筋肉の働きを整える

 

大切なのは体にいい塩!

ここまでは“摂取量”にフォーカスしましたが、ここからは「いい塩とは?」という視点で話をすすめます。ここで質問です。何を基準に塩を選んでいますか?

お気に入りがあると思いますが、天然塩はナトリウムやマグネシウム、カリウム、カルシウムを主体としたミネラルの塊です。そのバランスも良く、味はまろやか。少量でも満足しやすく、減塩につながります。体にいい塩はパッケージに記載された工程からも見えてきます。

塩の種類

1. 原料は海水でもミネラルゼロの「精製塩」

工程に「立釜」「イオン交換膜」と書かれています。日本の海水をイオン膜に通して濃縮し立釜で煮詰めて作ります。素早く大量に作ることができるので値段は安いのですが、ほぼナトリウム成分。それ以外のミネラルは製造過程で取り除かれてしまいます。ナトリウム刺激が強いため、精製塩は味覚の鈍化にもつながると評されることも。また、濃い味を好みやすくなり、塩分過多につながるデメリットも指摘されます。

精製塩の中には原材料「海水」の後ろに「/(スラッシュ)」で食品添加物名が書かれているものがあります。一般的なものでは、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、無水リン酸ソーダ、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなど。固結を防ぐために使われる添加物です。

2. “茹で”におすすめの「再生塩」

輸入した塩を水や海水に浸し濃い塩水を作り、不純物を取り除いて立釜や平釜で再加熱したものです。ラベルには「溶解」の記載があります。立釜の場合はナトリウム以外のミネラルはほぼ取り除かれ、平釜の場合はナトリウム以外のミネラルが残っていることもあります。平釜は蓋のない大きな釜でじっくり煮詰めていく製法。ナトリウム相当量は100g中91〜93g程度です。平釜の再生塩はお湯を捨ててしまう野菜やパスタを茹でるのにむいています。

3. ミネラルをしっかり含む「天然塩」

海・岩・湖などから採れ、化学的な処理を加えず昔ながらの製法で作られています。「天日」「平釜」と記載があります。「天日」だけのものもあります。天日は太陽と風の力だけでじっくり海水を蒸発させるので、時間がかかります。大量生産ができないので高価格ですが、ナトリウム以外のミネラル(マグネシウム、カルシウム、カリウムメイン)がしっかり残っています。ミネラルは塩味を和らげ、うま味やコクを引き出します。ミネラルによって刺激が緩和されるため、繊細な味覚を取り戻しやすくもなります。

また、ミネラルは臓器や細胞の活動をサポートしたり、歯や骨のもとになるだけでなく、美容にも大いに役立ちます。肌のターンオーバーを促進するカルシウム、バリア機能を高めるマグネシウム、保湿効果があるカリウム。ストレスでも消費されてしまうマグネシウムを塩から摂取できるのもありがたいことです。

21種類のミネラルを含む塩

「常温瞬間空中結晶製塩法」という特許製法で作られる沖縄の「ぬちまーす」。原料は宮城島の太平洋側の海水のみ。海水を細かい霧にして温風を当てることで水分だけが瞬時に蒸発するため、海水そのままの状態で結晶化される塩です。「ぬちまーす」のナトリウム成分は75%ほど。残り25%はミネラルで、なんと21種類。「世界一多様なミネラル分を含む塩」としてギネスに認定されています。

私たちの体には常に一定のミネラルが必要ですが、必須ミネラルは人体で生成できません。天然塩のミネラルは、臓器や細胞の活動をサポートしたり、歯や骨のもとになったりと重要な役割を果たしています。

「ぬちまーす」に限らず、ミネラルを豊富に含む天然塩は、それだけに味わいもさまざまです。好みの味の天然塩を探してみましょう。

入浴剤としても最適な天然塩

塩は食べるだけではありません。特に冬場におすすめしたいのが入浴剤として天然塩を使用すること。ここで使うのは、ナトリウム以外のミネラルも含まれている天然塩です。体にも肌にも嬉しいことがたくさん!「10分くらい浸かる→シャワーで流す」を1サイクルとして、2、3回繰り返して入りましょう。

好みのドライハーブやエッセンシャルオイルでグレードアップさせ、リラックス効果の高いバスタイムにするのもおすすめです。塩が入っていると皮膚のふやけ予防にもなりますよ。肌の表面に膜を作って水分を保持するからです。

ただし、塩を入れたお湯は追い焚きには向きません。塩分によって浴槽の配管がサビてしまう可能性があるからです。入浴後はお湯を抜き、すぐに浴槽を洗っておきましょう。

【天然塩風呂のうれしい効果・効能】

・体を芯から温める
・基礎代謝を上げる
・発汗作用を促す
・疲労を緩和する

 

塩で食も肌もクオリティUP

今回は良質な塩を適切に取ることの重要性についてお伝えしました。なかでも天然塩は食のクオリティを上げ、体内のミネラルバランスを整えることで、すこやかに、美肌になる有効な調味料です。ただ精製塩に比べると値段はややお高め。「美味しい」と感じられる天然塩は、少量でも満足度が高く、結果コストパフォーマンスも十分ということもあります。ちょっとした工夫で、調理の過程では精製塩や再生塩を使い、振りかけたり、つけたりと、食品とともにそのまま口に入れるときは天然塩を使うなど、使い分けるのも一考です。

また、実は意外と知られていないことに、塩には賞味期限がありません。無機質の結晶なので、何年前のものでも問題なく食べられます。「お土産に天然塩をもらってたかも」「買い置きしていたはず」という方、さっそく使ってみてくださいね。

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