ここ数年のアメリカでは、「良質な脂肪分は健康にいい」という考え方が主流になる中、ダイエットに最適として注目を集めるのが「MCTオイル(100%中鎖脂肪酸のオイル)」です。摂取するだけで脂肪を燃焼してくれる驚きのカラクリに着目した前編に引き続き、今回の後編では、具体的なダイエット方法をご紹介します。

MCTオイルはなぜダイエットに最適なの?

まずは、中鎖脂肪酸がダイエットや肥満の解消に効果的といわれる理由を探っていきましょう。

☑脂肪を効率的に燃焼する

中鎖脂肪酸についての説明でも言及していますが、最も特筆すべき機能が、効率のいい脂肪燃焼です。体内に取り込まれるとすぐにエネルギーに変換されるため、仕事前やワークアウト前のブースターとして摂取する人も多いMCTオイル。即座にエネルギーになるということは、同時に脂肪もすぐさま燃焼されているということ。この効率の良さは、長鎖脂肪酸にはなく、実際にリサーチによっても証明されています。24人の肥満男性が29日間MCTオイルを摂取し続けたところ、コレステロール値が12.5%低下しており、オリーブオイルの4.7%を大きく上回る結果が出ています。コレステロール値にも効果があるため、数字だけの減量だけではなく、お腹周りのマフィントップ(パンツやスカートの上にお腹の贅肉が見られること。マフィンのカップ型から焼き上がった生地がはみ出している形状と似ていることからアメリカでこう呼ばれるように!)にも変化が現れるでしょう。

☑ケトン体質になる

脂肪燃焼時に肝臓で作られるケトン体ですが、体内にブトウ糖があると生成されません。ブドウ糖を優先して、エネルギー源として使われるからです。ケトン体は、体内のブドウ糖量が極限まで不足すると、脂肪をエネルギー源として燃焼するため生成され、その状態(ケトーシス状態)をつくることを目的とするのが、ケトジェニックダイエットでした。そのため、ブトウ糖の元になる炭水化物の摂取が厳しく制限され、代わりに脂質(脂肪)の摂取が推奨されているのです。しかし、MCTオイルを摂取すると、体内にブトウ糖があっても、脂肪をエネルギー源とするために肝臓でケトン体が生成されます。そのためケトン体質になればなるほど、脂肪を燃焼しやすい=痩せやすい体へと変化していくというわけです。

☑空腹を感じにくい

ダイエットの大敵の一つとされるのが、空腹感ですよね?これに耐えられず、ついついお菓子や食べ物に手が伸びてしまうということもあるでしょう。この空腹感に大きく影響しているのが血糖値なのです。食べ物を摂取すると血糖値は一時的に上昇し、これを抑えるためにインスリンが分泌されます。インスリンの分泌によって、血糖値は低下しますが、これにより再度空腹感が襲ってくるのです。普段から糖質の多い食事をしていると、血糖値が一時的に急上昇しやすく、それを抑えるためのインスリンも大量に分泌されてしまうため、逆に血糖値が急激に下がります。そのため、食べても食べても空腹感が残るような状態が続いてしまいます。しかし先述した通り、エネルギー源として利用されずに、体内に残ったブドウ糖が血糖値の上昇をコントロールしてくれるため、空腹感を感じにくい体にしてくれます。またMCTオイル自体の油分により満腹感も感じやすく、食べ物の摂取量そのものが減ることも、脂肪燃焼効果と併せてダイエットには効果的だといえます。

☑筋肉は落ちない

一般的に、食事制限のダイエットを実践すると、脂肪以外に筋肉も落ちてしまうことがあります。しかしMCTオイルの場合は、一番簡単なダイエットとして、普段の食事にMCTオイルをプラスするだけ、という方法もありますので、極度な食事制限は必要ありません。ある程度の筋肉量や筋力があると、脂肪燃焼がさらに効果的に行われるため、痩せやすい体づくりには欠かせないのです。中鎖脂肪酸の「脂肪だけに作用する」という特徴が、ダイエットに最適な大きな理由の一つなのです。

では、実際にMCTオイルを使ったダイエットにはどのような方法があるのか、以下でご紹介していきましょう。

MCTオイルのダイエット方法

先述してきたように、ケトン体を生成しやすい体への体質改善を促すこともできるため、ケトジェニックダイエットの中で取り入れると非常に効果的です。しかし、ケトジェニックダイエットでは、ルールに沿った糖質制限や脂質、タンパク質の摂取がありますので、ストイックなダイエットになりがち。「もっと気軽にMCTオイルを始めてみたい!」という方は、日常的な食事にMCTオイルを取り入れることから始めてみましょう。以下では、難易度の低い簡単な方法からご紹介していきます。

初級者レベル:いつもの食事にちょい足しダイエット

食事メニューはいつも通りに設定し、MCTオイルをプラスします。ココナッツオイルやオリーブオイルなどと違い、MCTオイルは無味無臭ですので、オイル感は追加されますが、味付けそのものの変化はほとんどないといわれています。

以下のように、普段食べることの多い食事にMCTオイルをプラスして、毎日の摂取を習慣化するのもおすすめです。

【食事にMCTオイルをプラスする例】
◆米1合に対して、MCTオイル小さじ2杯をプラスして、いつものように炊く
◆味噌汁1杯に対して、MCTオイル小さじ1杯をプラス
◆ドレッシング大さじ1杯に対して、MCTオイル小さじ1杯をプラスしてサラダにかける
◆ヨーグルト70gに対して、MCTオイル小さじ1杯をプラス

 

また料理のレシピにMCTオイルを追加することも可能です。ただし、中鎖脂肪酸の効果を最大限に作用させるために、料理の加熱が終わった段階でプラスするようにしましょう。

【料理のレシピにMCTオイルを追加する際の留意点】
◆パスタや焼きそばなどの場合、すべて加熱が終わった後でMCTオイルを追加し、全体的になじませる
◆ポテトサラダなどは、ポテトを茹でつぶした後、マヨネーズなどを入れるタイミングでMCTオイルを混ぜる

 

基本的には、レシピへの応用が幅広く可能です。シンプルにスムージーやプロテインドリンクにプラスすることでも簡単に始められますね。

中級者レベル:完全無欠コーヒー(バターコーヒー)ダイエット

ヘルスコンシャスの高いLA(ロサンゼルス)の女性たちから支持を集めるヘルシーブランドとして、シリコンバレー発の「ブレットプルーフ」があります。以前サイト内でご紹介したプロテインドリンクの記事内でも、LA女子に人気なブレットプルーフのプロテインコーヒードリンクをご紹介していました。実は、このブレットプルーフの創始者であるデイブ・アスプリー氏が考案したのが、MCTオイル入りのバターコーヒーなのです。

日本では、「完全無欠コーヒー」と呼称されることもありますが、アメリカでは会社名と同じく「ブレットプルーフコーヒー」という名前で人気を集めています。アスプリー氏は、自身の140kgに達する肥満体型と体調不良に関して研究に研究を重ねた結果、「朝起きて一番にバターコーヒーを一杯飲む」ことを基本とするダイエットが、減量だけじゃなく、ストレス軽減やIQ値の上昇などさまざまな面で最大の効果を発揮すると結論づけたのです。彼の考案した完全無欠コーヒーの注目度の上昇も、MCTオイルの人気を後押しする形となりました。

アスプリー氏が考え出した完全無欠コーヒー(バターコーヒー)のレシピは以下の通りです。

【完全無欠コーヒー(バターコーヒー)レシピ】
・コーヒー・・・1杯
・グラスフェッドバター(無塩)・・・大さじ1杯(12g)
・MCTオイル・・・大さじ1杯

 

グラスフェッドバターとは、牧草だけを食べて育った牛の乳で作られたバターを指し、アスプリー氏が世界中のバターを試した結果、辿りついたレシピとされています。しかしここ最近は、グラスフェッドバターの代わりにギーを使ったり、MCTオイルの最新版である「ブレイン・オクタン・オイル」で代用したりと、完全無欠コーヒーも進化を遂げています。

つまり個人の好みに合わせて多少のアレンジもできますが、グラスフェッドバターやギーのような良質な脂質、そしてMCTオイル類を入れること、それを毎朝1杯ホットで飲むことがダイエットの基本だとされているようですね。

上級者レベル:低糖質とタンパク質強化の食事制限ダイエット

短期間でケトン体質に変化させ、確実に効果を出したい人は、食事制限のメニューにMCTオイルを毎食プラスしていきましょう。糖質を制限し、タンパク質の摂取を強化しながら、1日の摂取総カロリーを1200kcal以下に抑えるダイエット方法です。

【朝食、昼食のメニュー例】
・プロテインドリンク60cc+MCTオイル20cc
・野菜スムージー200ml
・副菜 150kcal (タンパク質は30g、炭水化物は50g以下)

 

【夕食のメニュー例】
・プロテインドリンク60cc+MCTオイル20cc
・茹で卵1個

 

就寝前にさらにもう1杯MCTオイル入りのドリンク(プロテインドリンク60cc+MCTオイル10cc)を飲むと、翌朝の空腹感が最小限に抑えられるとされています。また日中の水分摂取は1.5Lを目安にし、ビタミンやミネラルなどのサプリメントで不足しがちな栄養補給も忘れずに行ないましょう。

以上のように、MCTオイルを使ったダイエットプランは何種類も存在します。しかし、摂取するだけで脂肪燃焼をしやすくしてくれるのが、MCTオイルの魅力。初級者レベルや中級者レベルから気軽にスタートしてみるのもいいでしょう。MCTオイルに体を慣らす時間も必要です。ゆっくり自分の体と相談しながら、ダイエットを進めてくださいね。

朝一杯のコーヒーに革命を

実はこの記事のリサーチを始めてから、朝はブレットプルーフコーヒーを飲むようになりました。コーヒーそのものの摂取は賛否両論あり、カフェインが必須になってしまっている私個人としては減らさなければ…と考えていた矢先の出来事で、まるでMCTオイルが運んでくれた吉報のように受け取っています。もちろん何事も過剰摂取はいけませんが、朝の1杯で痩せるかもと思えば、目覚めもいつにも増していいような気がしてきます。

まだ始めてから2週間程度ですが、朝から昼にかけての腹もちが抜群にいい!以前から続けている午前中のプチ断食も、ランチ前の空腹感がぐっと減ったような印象です。元IT起業家のアスプリー氏は朝の完全無欠コーヒーを7年間続けたそうです。私も数年間続けられたら「もっと素敵な記事がスラスラと書けるようになるかな?」なんて空想しながら、本日もコーヒー1杯を片手にパソコンとにらめっこしております。

出典

https://www.healthline.com/nutrition/mct-oil-benefits
https://www.organicauthority.com/energetic-health/6-exciting-trends-in-health-and-wellness-for-2019
https://whatsgood.vitaminshoppe.com/bulletproof-coffee/

この記事を書いたライター

Beauty Lifestyle Writer

東京でファッション誌の編集・ライターとして活動後、渡米。LAではセレクトショップのバイヤーに。妊娠、出産を機に退職した後はフリーランスのライターとして活動再開。Newスポットの探索、本屋巡り、図書館でお籠り、ハワイへの逃避行が大好き。娘の笑顔とアイスクリームさえあればとりあえず幸せな30代女子です。

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