“まつエク”国際大会で多くのトロフィーを獲得したアイリスト、TB・キムさん

女性にとって 「目元」は顔の中でも最も気になるパーツではありませんか?アイメイクをほんの少し変えるだけで、顔の印象は大きく変わります。特に、目元を華やかに演出してくれる長く豊かなまつ毛は、日本人女性はもちろん、世界中の女性にとっても羨望の的。憧れの“長く豊かなまつ毛”を手に入れる方法の一つが、 自前のまつ毛に人口まつ毛を装着する「まつ毛エクステンション」です。まつ毛エクステンション、略して“まつエク”を施術したり 「まつ毛カール」「まつ毛パーマ」などさまざまなメニューを施したり、目元に関する悩みをカウンセリングしたりするスペシャリストは「アイリスト」と呼ばれています。今回は、ビューティートレンドの発信地であるアメリカのNY(ニューヨーク)で、予約が殺到している人気“まつエク”サロンを経営するアイリストのTB(ティー・ビー)・キムさんをインタビュー。現在アメリカで流行中の“まつエク”のタイプや、今さら聞きにくい“まつエク”のあれこれについて教えていただきました。

美しさをクリエイトするTB(ティー・ビー)・キムさん

TB・キムさんのサロン
「ブルー・ゲイシャ・ラッシュズ(Blue Geisha Lashes)」にて

アメリカン・ドリームのスタートはLA

ライターの私自身は、奥二重の上にまつ毛が短いことが長年のコンプレックス。メイクをする時はアイライナーとボリュームマスカラが必須、さらに「アイプチ」「つけまつ毛」「まつ毛エクステンション」といろいろ試してきました。そのなかで、ノーメイクでもまつ毛が長いままでいられる“まつエク”はお気に入り。その魅力を教えてくれたのは、8年程前にLA(ロサンゼルス)で友人になったTB(ティー・ビー)・キムさんでした。

NYでアメリカ人が覚えやすい英語名で仕事をしているTBさんは、高校卒業後は東京でエステティシャンの専門学校に通っていた日本人。現在はアイリストとして、ニューヨークのマンハッタンで“まつエク”サロン「ブルー・ゲイシャ・ラッシュズ(Blue Geisha Lashes)」を経営しています。出会った当時、彼女は「ニューヨーク・フィルム・アカデミー」という演劇学校に通う学生で、「女優は収入が安定しない職業だから、アイリストとしてサロンを経営しようと思う」という確かな人生設計を持っていました。一度練習用にと私にまつエクをしてくれたのですが、丁寧な施術で、普段の3倍ぐらい魅力的になった自分の目に感動したことを今でも覚えています。

TBさんは2015年にLAからNYに移住し、NY在住の韓国系アメリカ人のパートナーと結婚。NYのサロンでアイリストとして仕事を始めて、わずか一年経った翌年には独立して、サロン開店を実現してしまったのです。

国際大会で連続優勝を果たす確かな腕

LAと並び、ファッションや流行の最先端・NYでサロンを経営しているTBさん。しかし、彼女が“まつエク”の最新トレンドや最新技を学ぶ場所は、NYだけに留まりません。2018年、TBさんは“まつエク”の国際大会が開催されていることを知り、自分のレベルを確かめたいとネバダ州ラスベガスで開催された大会に出場します。その予選でトップ4入りしたものの、本選が中止になるというハプニングに見舞われました。次にLAでの国際大会に再挑戦。3部門での受賞を獲得しました。

「それで、大会に夢中になってしまって…。トロフィーを持つと、何ともいえない達成感があって嬉しいのです。その時に“ビジネスのために今年はできるだけ大会に出場しよう”と 決意しました。それから、世界中の国際大会に毎月出場しました。4月のスペインに始まって、5月にカナダ、オランダ、東京、スコットランド、マイアミ、ドイツと、毎月です」。

国際大会は世界各国から出場者が参加するので、東京の大会でもさまざまな国籍の人が参加していたそうですが、旅費は全て自己負担。TBさんは会社と自分への投資だと言い聞かせ、行く先々で必ず賞を手にしました。そして、なんと、たった一年で計11個ものトロフィー(優勝は4つ)を獲得することになったのです。その功績が認められて、2019年は、国際大会の審査員になる予定です。短期間でここまでビジネスを成功させた彼女は、まさにアメリカン・ドリームを体現している人。成功というのは努力だけでなく、行動力によってもたらされるものであると、彼女のサクセスストーリーが教えてくれるようです。

そもそも“まつエク” とは?

さまざまな種類がある“まつエク”

自毛のまつ毛に人工まつ毛を装着する“まつエク”もさまざまな種類があります。ブルー・ゲイシャ・ラッシュズでは、どのようなエクステンション(ラッシュ)がいいか、カールのタイプや長さ、仕上がりの見た目(キャットアイ風、ドール風など)を、カウンセリングでじっくりと相談し、途中で経過を確認して調整を加えながら施術を進めていきます。

「“まつエク”には大きく分けると2種類あります。まずは“インディビジュアルラッシュ”。“クラシックラッシュ”ともいわれます。一本のまつ毛に対し1本のエクステンションを装着するものです。次に“ボリュームラッシュ”。複数のエクステンションを一本のまつ毛に装着します。本数によって2D、3D、4D、5D、6Dと記され、10本以上も装着可能です。インディビジュアルラッシュ(0.15~0.2mm)と比べてボリュームラッシュのエクステンションはとても細い(0.03~0.07mm)ので、たくさん装着しても重さはインディビジュアルと同じ。または、それ以下になるよう計算し、バランスを取りながらのせていきます。インディビジュアルはまつ毛とまつ毛の間に隙間ができるのに対し、ボリュームラッシュは本数が多く密度が高い分、一本、一本の毛が細いので、見た目がフワッとした仕上がりになります」。

TB・キムさんのサロンでも行っている“ボリュームラッシュ”6Dの一例

ブルー・ゲイシャ・ラッシュズで人気なのは、ボリュームラッシュ。 お客様の90%がボリュームラッシュを施術するためにサロンに訪れるそうです。また、エクステンションはクオリティ別に数種類に分別されています。一般的に知られているのは「ミンク」と「シルク」の2種類。

「ミンクとシルクというのは、エクステンションの質を表す名前です。サロンによっては“プレミアムミンク”や“プレミアムシルク”といった呼び方をするところもあります。私のお店では、ミンクが高いレベルでシルクは扱っていません。でも“私たちのシルクはミンクより上質ですよ”と宣伝するサロンもあります。あくまでも各店舗が決めることなので、これには基準がないのですね。だから、クオリティに関しては厳密には2種類のみではなく、少し曖昧なのです」。

ちなみに、本物のミンクの毛を使用した「ミンクラッシュ」も存在するそうですが、使用されているものの大半は人工毛。本物のミンクだと、カール具合や毛の太さが統一できないためとか。さらに「フラット」という別タイプのエクステンションもあります。

「通常のラッシュは断面がまつ毛と同じように丸いのですが、“フラットラッシュ”は平らに潰れているのです。潰れているため、幅が0.15mmあるものでも高さがないのでより軽い。でも、円状でない分、少し見た目がナチュラルではなく、良い効果としてちょっと濃く映る。つまり、ドラマチックに見えるのですね。また、潰れている分、接着面積が増えるので、“まつエク”が長持ちします。私のサロンではあまり使いませんが、ボリュームラッシュに何本かフラットラッシュを混ぜて違う質感を出す、というテクニックは使っています。それにより、新鮮で可愛らしいアイラインになるのです」。

“まつエク”業界の最新トレンドはキム・カダーシアン・ルック

ボリュームラッシュがTBさんのサロンでは人気とのこと、“まつエク”業界には、流行はあるのでしょうか?

「今の“まつエク”の流行は、断然“ボリュームラッシュ”です。世界中で流行っています。このトレンドは多分、8年ほど前にロシアで始まって、アメリカではここ2年位でトレンドになりました。私がアイリストの仕事を始めた3年前、同業者は誰もボリュームラッシュの存在を知らなかったのですよ。今でも“インディビジュアル”しか扱っていないサロンはたくさんあります」。

ブルー・ゲイシャ・ラッシュズでは、独自のメニューとして「プレミアム」「プラチナム」「メガヴォリューム」と3種類のボリュームラッシュを提供しています。一番人気は、ふわっとした自然な見た目に仕上がるプレミアム。プラチナム、メガヴォリュームと段階を上げることで、よりドラマチックな仕上がりが得られるそう。

「まだ、“ボリュームラッシュ”を知らないお客様も多いので、最初はベーシックなものから試されますね。今は“プラチナム”も人気が出ています。よりスパイキーな(先端の尖った)ルックに仕上がります。現在、“キム・K(カーダシアン)・ルック”というのがアメリカではとても流行っています。トゲトゲした突き出したようなラッシュで、全ての長さが揃ったまつ毛ではなく、つけまつ毛のようなジグザグのテクスチャーを作り出すようにしています。キム・カーダシアンやカイリー・ジェナーのまつ毛は、結構そのジグザグ感があります。それが“キム・K(カーダシアン)・ルック”なのです」。

“まつエク”業界でもキム・カーダシアンとカイリー・ジェナーがトレンドをつくっていることを知って、驚く私。彼女たちのノーメイクの信じられないほど濃いまつ毛は、生まれつきだと思い込んでいましたが、“まつエク”だったのですね。

“まつエク”はメイクではなく、体の一部

“ブルー・ゲイシャ・ラッシュズ”という店名を思いついた当時のブルー・ヘアーのTB・キムさん

一度始めたら止められない“まつエク”

一度着け始めたら、約2~3週間でリタッチに行く必要があるのが“まつエク”。ズボラな私はそれが面倒で続きませんでしたが、キムとカイリーもやっていたと知った今、俄然やる気が沸いてきました。そんな私の背中を押すかのように、TBさんは、まつ毛エクステが彼女にとってどんなに大切かを語ってくれました。

「“まつエク”は完璧に体の一部ですね。私は10年位“まつエク”をしていますが、もう顔の一部なので、ついてない時の顔は自分の顔ではないという感じ。なくてはならないものです。ないと顔が一気に変わってしまうので、外に出られません! 」。

サロンを訪れるお客様も、一度始めたら止められないという人が多く、以前のサロンからTBさんを追いかけて来店する方もいるそうです。これまでにお客様からいただいて一番嬉しかった言葉とは?

「言葉というより、リアクションが嬉しいですね。“えええー!”とか、“すごい!”とか。あと、これは常套句ですけれど“あなたって最高!”。そのお客様が心から私を信用してくださっていることが感じられて・・・」。

“まつエク”を長持ちさせるコツ

“まつエク”の持ちは、前述したように2週間程度ですが、施術前後のお手入れ次第で長持ちさせることが可能だそうです。では、注意すべきことは?

「まず、エクステをつける前に、まつ毛をしっかり洗ってからサロンに出向くことが大切です。必ずしもアイリストがまつ毛の根元の細かい部分まで洗ってくれるとは限らないので。目に見えないクリームなどが残らないように洗っておくと安心ですね。次に、装着後はグルーが完全に固まるまでに24~48時間かかるので、その間は水やスチームなどを避けて、シャワーも極力浴びないように。その後は、毎日丁寧にまつ毛を洗って、汗や油を洗い流すように心がけて下さい。その際にオイルを使うとエクステが取れてしまうので、メイク落としや化粧品はオイルフリーのものを使って下さい。それから、目をこすらないように気をつけることですね」。

これからのTB・キムさんのアメリカン・ドリーム

サロンを初めてからわずか2年で店舗の規模を拡大し、この12月、マンハッタンに従業員6人の新店舗を開店したTBさん。次の夢はサロン事業に集中して時間が取れていなかった女優業に専念することだそう。サロンは経営者として続けていくことが理想と話してくれました。女優業の時間がなかなか捻出できなかったと語るTBさんですが、実は、コメディ・セントラルというケーブルTV局の『The Gorberger Show』にレギュラー出演し、その番組のキャラクターの「東京フィーバー」としてアメリカの音楽フェスティバルでステージに立つなど、着実に仕事は続けていました。経営者としてここまで成長したTBさんが、女優業に専念した時の活躍ぶりも期待せずにはいられません。

最後に、まつ毛エクステンションに初挑戦してみたい方へのアドバイスをお願いしました。

「最初の経験はとても重要だと思うので、サロンのリサーチはしっかりと行うことをおすすめします。あまりいいとはいえないサロンが存在することも事実なので、ちゃんと調べて、万が一何かあった時にも、きちんと対応をしてくれるサロンを選ぶようにしてくださいね。その上で、サロンでも経験のある上手な人にやってもらうといいですね。それから、初めの時は、あまりにも見た目が変わって驚いてしまうこともあるので、最初は自然に見える“まつエク”から始めて、慣れてきたら徐々に本数を増やしたり、エクステンションの長さを長くしたりしていくといいのではないかと思います。まずは気負わずに挑戦して、“まつエク” を楽しんでくださいね」。

TBさんのアドバイスを参考に私も新しい自分に出会えるよう、もっと“まつエク”を楽しもうと思います。ぜひ、皆様もご一緒にいかがですか?

取材協力

Blue Geisha Lashes
39W32nd street, Suite 1504, New York, NY 10001
Tel: 917-310-0290
Instagram: www.bluegeishalashes.com

この記事を書いたライター

Beauty Lifestyle Writer

洋楽専門誌編集部に勤務したあと、1999年、カリフォルニア州ロサンゼルスに移住。フリーの音楽ライターとしてライナーノーツ執筆・取材・ライブレポートなどを数多くこなす。ファーマーズマーケットで仕入れる地元の食材を使ったナチュラルな生活と音楽ライブがエネルギーの源。

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